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古い建具に刻まれていたもの

戸襖の建付けが悪いと言う事で修理を依頼されました。

築40年から50年ほどの建物ですから地域の大工さんや建具屋さん表具師さん等が寄ってたかって手造りで家をこさえていた頃のものです。

話はそれますが、今では建材やら建具やらは工場生産が当たり前ですが、かつては皆手作りで、しかも材料も条件が合えば地域のものを職人さんがあつらえて来たりして、まさに家造りは地産地消だったんですねぇ。

建築用語で「町場」と言うものがありまして、詳しい由来はよくわかりませんが、要は地域の小規模な木造建築に関わる職人さん達の現場を指す場合が多いと思います。

最近はどうやらその言い回しはあまり使われなくなったらしいですね。
単に建築現場と言わずに町場という表現をしていたのは、有象無象のやからが集まる場などではなく、町を創る職人集団の場という括りと、その仕事に携わるというプライドが明確に存在したからなのではと考えます。

 

さて、その頃の職人さんからしたら何も知らないひよっこ、などと言われてしまいそうな私ですが、時を経てかつての職人さんの仕事を拝見するわけです。どんな仕事をしていたんだろう?興味が湧かないわけがありません。

得てして私が手がけているリフォームという仕事は、常日頃そういう場面に立ち会うことになります。その度に緻密な仕事に脱帽したり、その逆もあったりですが、ホントに同じものが一つとしてないなと感心します。

もちろん決まったルールがあった上での差異ですから、それは職人さんのクセなのかな、と思ってしまって良いレベルかとは思いますが。

で、本題。

建付けが悪かったのは、フラッシュ(芯材と薄い板のサンドイッチ構造)の表皮材とヒンジの根元が剥離していた為でした。

接着剤の劣化によるものと思われますが、この年代の建具や家具はまあしょうがないですよね。

なので、いっその事分解してしまおうと思って剥がしたのが冒頭の写真。

よく見ると芯材に切れ込みが入っていますね。

とっても薄い戸襖がヨレヨレにならずに建付けを維持するためには芯材がシッカリとまっすぐになっていなければなりません。

なので予め木が反るであろう方向を予測して溝を付けておいたんだと思います。

なるほど!無垢の荒材を使ってコストを抑えるために知恵を絞ったんだなぁ。今だったら集成材とか使えばいいんだから。

いやでもこんなことに感動していると、おまえそんなことも知らずにこの仕事やっているのか!と怒られそうですね。

他にも障子などど同じように木の釘を使っていたりと見えない地味な所で建具屋ならではの仕事が色々見られました。

やあ、勉強になりました。

 

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